【2025年最新版】帰国子女・海外子女の中学受験の条件とは?|中学受験の特徴や受験対策を解説

帰国子女・海外子女の中学受験には、一般的な中学受験とは異なる点が多くあります。

受験資格や入試科目などを事前に調べ、ポイントを押さえた対策を行うことが大切です。

本記事では、帰国子女・海外子女向け中学受験の条件や科目など、受験に役立つ情報をわかりやすく解説します。

帰国子女の中学受験とは?

近年、中学受験の人気は年々高まっており、中高一貫校の中には高校からの募集を停止する学校も増えてきました。

こうした流れの中で、海外で一定期間を過ごした子どもたちが「帰国生入試(帰国枠)」を利用し、入学後には他の帰国生とともに特別な英語教育プログラムを受けられるというのが、帰国子女・海外子女の中学受験の大きな特徴です。

小学校時代に海外で身につけた英語力は、日本の一般的なカリキュラムでは十分に活かしきれない場合があります。

多くの日本の中学校では、英語をアルファベットや基本文法から学び始め、最終的には大学入試を見据えた受験英語が中心になります。

そのため、実践的な英語力をすでに持つ帰国生にとっては物足りないこともあります。

多くの学校では、帰国生専用の英語クラスやサポート体制が用意されており、英語圏からの帰国生は、ネイティブ教員による授業や発展的な英語学習を通じて、実践的な語学力をさらに伸ばすことができます。

一方で、英語圏以外の国から帰国した生徒にとっても、帰国枠入試は大きなチャンスです。

滞在先の言語や教育制度は異なっていても、多文化環境で得た柔軟性や国際感覚、適応力などは日本の学校教育でも高く評価されています。

そうした力を活かすことで、面接や小論文を中心とした入試方式にも対応しやすくなります。

また、学校側にとっても、さまざまな国や文化で育った生徒を受け入れることで多様性のある学習環境を実現できるというメリットがあります。

そのため、帰国生枠を導入する私立中学校は年々増加傾向にあると言えるでしょう。

帰国子女の中学受験の条件(受験資格)

帰国子女枠で中学入試を受けるには、一般的に海外での在留年数と、帰国から受験までの期間において、一定の基準を満たす必要があります。

多くの私立中学校では、「海外在留1年以上」「帰国後2年以内」といった条件を設けており、これが帰国生入試の基本的な要件となっています。

なお、中学入試は小学6年生の冬(1~2月)に行われるため、試験時点で「帰国から2年以内」の条件を満たすには、小学校4年生の冬までに海外に滞在している必要があるという計算になります。

ただし、学校によっては帰国から3年以内まで認めるなど、受験資格の幅を広げているところもあるため、各校の募集要項を必ず確認することが大切です。

一方で、国内のインターナショナルスクールに通う生徒については注意が必要です。

東京都では、2024年度入試から、帰国生入試の出願要件が厳格化され、原則として「海外での在住経験がないインター校生」は帰国枠で出願できなくなりました。

この変更は、帰国生入試の対象を「海外在住経験のある生徒」に限定するよう私立中学校に求められたことによるものです。

従来は、国内のインターナショナルスクールに通う生徒でも帰国生入試に出願できるケースがありましたが、制度の趣旨と異なるとの指摘を受けて、基準が明確化されました。

帰国子女の中学受験の特徴とは?

帰国子女・海外子女の中学受験には、一般的な中学受験とは異なる点がいくつかあります。

ここでは、帰国生の受験科目や試験日、出願日程などについて詳しくご紹介します。

受験科目は学校によって異なる

帰国生入試の受験科目は、学校によって異なり、主に以下の4種類に分類されます。

  • 2教科型(国語・算数)
  • 3教科型(国語・算数・英語)
  • 4教科型(国語・算数・理科・社会)
  • 英語+α

2教科型(国語・算数)

国語・算数の2教科型による受験は、海外で理科や社会を学ぶことが難しいという学習環境を考慮したものです。

また、国語と算数の入試問題は、実施される日程によって内容が異なります。

一般入試と同じ日程で実施される場合は、問題自体は共通ですが、合格基準点が一般受験生とは異なることが多くあります。

一方で、一般入試とは異なる日程で行われる場合は、出題内容も異なり、難易度も比較的易しく設定されている傾向があります。

3教科型(国語・算数・英語)

帰国子女・海外子女の中学受験では、国語・算数・英語の筆記試験と、英語・日本語による面接を組み合わせる形式が一般的です。

帰国子女・海外子女は一般の中学受験生に比べて、受験対策に充てられる時間が限られていることが多いため、理科や社会の科目が免除される一方で、英語力が重視される点が大きな特徴です。

国語と算数に英語を加えた3教科型の受験は、帰国生入試の受験科目で最もオーソドックスな形式とされており、最近では英語力に加えて、学校の授業についていくための国語・算数の基礎学力を一定程度求める学校が増えてきています。

さらに、この3科目に加えて面接を重視する学校も多いため、面接対策も欠かせません。

4教科型(国語・算数・理科・社会)

4教科型の受験では、基本的に一般受験と同じ日程・同じ問題で入試が実施され、合格基準点のみが異なる「帰国子女優遇措置」を設けている学校が多く見られます。

この制度は、帰国後すでに一定の時間が経過し、十分に受験勉強を行う期間があった帰国生や、一般の中学受験校との併願を考えている層に利用されることが多いと言えるでしょう。

そのため、4教科型の受験では、国内の一般受験生と同程度の学力が求められます。

英語+α

英語を中心した入試科目は英語圏の現地校やインターナショナルスクールに通学していた生徒を主な対象としています。

​試験の難易度は学校によって異なり、英検準1級レベル以上の英語力を求める学校もあります。​

また、英語・日本語による面接や英語エッセイを課す学校も多く、これらの対策も重要なポイントです。

出願期間や試験日をチェック

帰国子女・海外子女の中学受験は、一般の中学受験よりも早い時期に実施されるのが特徴です。

帰国子女・海外子女向けの入試では、一般的に出願期間が10月〜12月、試験日は11月〜1月に設定されている学校が多く見られます。

一方で、一般の中学受験の出願期間と入試日程は、通常1月〜2月に集中しています。

そのため、志望校の出願期間や試験日を事前にしっかり確認し、早めに受験準備を始めることが大切です。

ただし、中には一般入試と同じ日程で帰国生入試を行う学校もあり、この場合は一部の優遇措置があるものの、基本的には一般入試と同程度の学力が求められます。

各学校の帰国生入試の難易度を把握する際には、入試日程も参考材料のひとつとして確認しておくと良いでしょう。

帰国子女の受験勉強のポイント

ここからは、受験勉強におけるポイントをご紹介します。

受験準備の参考として、ぜひお役立てください。

帰国生入試で中学受験に挑戦するか決める

帰国生入試は、通常、一般生が受ける入試とは異なる募集枠で実施されます。

一般受験に加えて、帰国生入試も受験することで、合格のチャンスが広がるのは確かです。

ただし、複数の学校を何度も受験することは、子どもにとって大きな負担となる可能性があります。

そのため、子どもの学力だけでなく、精神的な負担やストレスも考慮したうえで、受験校の選定や受験する入試枠を慎重に決めることが大切です。

また、受験勉強を始める前に、まずは模試などを受けて、子どもの現在の学力を把握しておきましょう。

子どもの強みや弱点を知ることで、どの分野に重点を置いて勉強すればよいかが明確になり、学習を効率的に進めることができます。

特に英語については、日常会話で使う英語と、受験に求められる英語とは大きく異なります。

リーディングやライティング、文法の理解度を把握するためにも、英検などの英語資格を受験してみるのも一つの方法です。

英語資格試験の結果は、子どもの課題を明確にする手がかりになります。

結果をもとに、今後の学習計画を立てていきましょう。

受験科目の対策方法

帰国子女・海外子女の中学受験では、算数・国語・英語の3科目が重視されます。

出題傾向や対策内容は学校によって異なるため、志望校の過去問や出題方針を事前に確認しておくことが重要です。

算数では、帰国生入試であっても応用力が求められる問題が出題されることがあり、海外の現地校では扱われにくい単元や、日本特有の出題形式に対応するためには、志望校の過去問に早めに取り組み、出題傾向を把握しておくことが効果的です。

国語については、海外在住中であっても日本語力の維持・向上に努めることが求められ、特に漢字や慣用句の正しい使い方に加えて、文章を読み取る力を養うために、日本の新聞や書籍に日頃から親しむことが推奨されます。

国語力はすべての教科の基礎にもなるため、早めの対策が望ましいでしょう。

英語についても、受験で求められるのはリーディングやライティング、文法といったスキルであり、日常会話とは異なる点が多いため注意が必要です。

英検などの英語資格試験を活用して現在の英語力を客観的に把握し、苦手分野を明確にして重点的に対策を行うことをおすすめします。

帰国子女の中学受験の対策ポイント
  • 算数:志望校の過去問に早めに取り組み、出題傾向を把握しておく
  • 国語:漢字や慣用句の正しい使い方を理解し、日本語の新聞や本に日常的に触れる
  • 英語:英検などの英語資格試験を活用して英語力を強化する

また、帰国子女の中には、帰国生入試と一般入試の両方を併願する受験生も少なくありません。

一般入試では理科・社会が必須科目となっている学校が多くあります。

また、国語や英語の長文読解問題の題材として、理科・社会に関する内容が扱われることもあるため、日頃からこれらの分野にも触れておくことが望ましいです。

海外では理科や社会の学習が十分に行えないケースもありますが、日本語の参考書やオンライン教材、塾のサポートを活用することで、基礎知識を補うことが可能です。

志望校の選択肢を広げるためにも、バランスのとれた学習計画を立てていきましょう。

面接・作文の対策方法

帰国子女・海外子女の中学受験では、面接を実施する学校が多く見られます。

面接は日本語で行われる場合もあれば、英語で実施されることもあり、学校によって形式はさまざまです 。

面接の対策は、海外にいる間から始めることが可能です。

面接では、志望動機や海外での生活・学習経験について問われることが多く、具体的なエピソードを交えて、自分の成長や気づきを伝えられるようにしておくことが大切です。

日頃から、学校での出来事や学んだ内容、家族との思い出などを自分の言葉で話す練習をしておくと、「海外生活でどんな経験をしましたか」「どのようなことを学びましたか」といった質問にも自信を持って対応できるようになります。

また、保護者同伴で面接を行う学校もあります。

そのため、家庭内でも日常的に対話を重ねておくことで、親子ともに面接に向けた準備が整いやすくなります。

面接は単なる試験ではなく、受験生の人柄や経験を伝えるコミュニケーションの場であり、学校側との相性を確認する機会でもあります。

自分自身をしっかりとアピールし、面接官に理解してもらうことが、合格への第一歩となります。

さらに、多くの帰国生入試では、面接に加えて作文も課されます。

そのため、学力試験の勉強と並行して、作文対策にも計画的に取り組むことが大切です。

作文では、課題文の読解力に加え、自分の考えを論理的かつ説得力をもって表現する力が求められます。

日頃からさまざまな文章に触れ、語彙力や表現力、思考力を養っておくと良いでしょう。

面接や作文の対策は、一朝一夕には身につかないため、早めに着手し、時間をかけて丁寧に準備することが、合格への近道となります。

帰国子女の中学受験で求められる英語力

帰国子女・海外子女の中学受験において、英検の取得級はあくまで目安とはなりますが、英語力の指標として参考にされることがあります。

一般的には、最低でも英検3級(中学卒業程度)を取得していれば、一定の基礎力があるとみなされるケースが多いといわれています。

一方で、難関校や帰国子女・海外子女に人気の学校では、小学生のうちに英検準1級(高校卒業程度)以上を取得している受験生もおり、受験者層の英語力は年々高まる傾向にあります。

英検の級が出願条件になっている学校は一部に限られますが、志望校の募集要項を事前に確認し、必要であれば指定されている級よりも上の級を目指しておくと安心です。

また、級が上がるにつれて、求められる英語力はもちろん、内容もアカデミックかつ複雑になっていきます。

そのため、英検対策を通じてリーディング力やライティング力を高めておくことは、中学受験の英語筆記試験の対策にもつながります。

英語力の強化やアカデミックな内容への慣れという意味でも、小学生のうちから段階的に英検に挑戦しておくとよいでしょう。

帰国子女の中学受験で英検が役立つ理由とは?

英検を取得することには、帰国生入試においていくつかのメリットがあります。

まず、一定の級を取得していることで、英語の試験が免除されたり、加点の対象となる学校が存在する点です。

ただし、こうした優遇制度を設けている学校は限られており、すべての学校に当てはまるわけではないため、志望校の募集要項をよく確認しておくことが重要です。

また、多くの学校の募集要項には「英検◯級程度の英語力が求められる」といった記載が見られるため、英検は英語学習の指標としても活用しやすい資格です。

例えば、小学生のうちに英検準1級を取得しておくことは、難関校を受験する際の大きな精神的な支えにもなります。

受験期はストレスがかかりやすく、精神的に不安定になりやすい時期です。

「準1級を取得している」という実績が自信や安心感につながり、精神面でも好影響を与えることがあります。

ることで、特にスピーキングやリスニングの力が落ちやすい傾向があります。

そのため、英語力の維持・強化という観点からも、英検の勉強は非常に有効です。

英検である程度の英語力が証明されていると、英語にかける勉強時間を抑え、その分を国語や算数の対策に充てることも可能になります。

これは、限られた受験準備期間を効率よく使う上で、大きなメリットとなるでしょう。

志望校合格に向けて、今すぐできることを確実に

帰国子女・海外子女の中学受験には、一般入試とは異なる出願条件や試験内容、そして対策のポイントがあります。

特に帰国生入試は、一般入試よりも早い時期に実施されるケースが多いため、計画的な準備が合格への第一歩となります。

各学校が求める学力や人物像をしっかりと把握し、適切な対策を積み重ねることで、子どもの強みを最大限に活かせるでしょう。

本記事が、受験準備を進める上での道しるべとなれば幸いです。

志望校の合格通知が、新たなステージへの扉を開いてくれることを心より願っています。