帰国子女の小学校選び|日本のインターナショナルスクールとは?

帰国子女の進学先として、近年注目が高まっているのが日本国内にあるインターナショナルスクールです。

特に小学校の段階では、日本の公立校との違いやカリキュラム、英語環境などを踏まえた学校選びが求められます。

本記事では、帰国子女の小学校選びにおけるインターナショナルスクールの特徴や選ぶ際のポイントについて解説します。

インターナショナルスクールとは?

インターナショナルスクールには、法的に明確な定義は存在しませんが、一般的には外国籍の児童・生徒を主な対象とし、英語を中心とした言語で授業を行う教育機関として認識されています。

文部科学省の見解によれば、インターナショナルスクールの多くは、学校教育法第134条に基づく「各種学校」として認可されており、一部には、同法第1条に該当する「一条校」として運営されている学校もあります。

一方で、法的な認可を受けていない無認可校も一定数存在します。

日本国籍の子どもを「一条校」ではないインターナショナルスクールに通わせた場合、義務教育の就学義務を果たしたとは見なされない可能性があります。

インターナショナルスクールの多くは、独自の教育方針のもと、柔軟なカリキュラムが組まれており、学校ごとに多様な教育が行われています。

また、国際バカロレア(IB)や国際学校評議会(CIS)といった国際的な認証機関から認定を受けている学校もあります。

インターナショナルスクールの種類

インターナショナルスクールには様々種類があります。

例えば、長い歴史を持つ老舗のスクール、帰国子女のために設立された学校、アメリカンスクールやブリティッシュスクールのように特定の国の教育方針に基づいた学校、カトリックやイスラム教などの宗教教育を含むスクール、さらには日本国内で育った子どもを対象とした日本発のインターナショナルスクールなどが挙げられます。

これらは設立の目的に応じて、国籍や宗教、海外滞在歴などの入学条件が定められている場合があります。

しかし、現在では、国際的な教育への関心の高まりとともに、ご家庭のバックグラウンドにかかわらず広く門戸を開く学校が増え、以前ほど厳格な入学条件を設けない学校も増えてきています。

インターナショナルスクール(小学校)のカリキュラム

日本国内にあるインターナショナルスクールでは、世界各国の教育制度や理念に基づいた多様なカリキュラムが導入されています。

国際的な視野や多様な価値観を育てる教育は、グローバル社会で生きる子どもにとって、大きな力となると期待されています。

帰国子女はもちろん、これからの時代にふさわしい教育を求めるご家庭からも注目を集めるインターナショナルスクールですが、実際に小学校ではどのようなカリキュラムが採用されているのでしょうか。

国際バカロレア(International Baccalaureate)

国際バカロレア(International Baccalaureate、略称:IB)は、1968年にスイス・ジュネーブを本部とする非営利団体「国際バカロレア機構(IBO)」によって創設された、国際的に共通の教育プログラムです。

多様な文化や社会の複雑さを理解・尊重し、それに柔軟に対応できる国際的な視野を持つ若者の育成を目的としており、特定の国の教育制度にとらわれないカリキュラムで構成されています。

これにより、国や地域を問わず、どのIB認定校でも一貫した教育を受けることが可能です。

特に、転居が多い帰国子女や国際的な環境で育つ子どもたちにとって、教育の継続性が確保される点が大きな利点となっています。

ケンブリッジ式カリキュラム(Cambridge International)

ケンブリッジ式カリキュラム(Cambridge International Curriculum)は、イギリスのケンブリッジ大学の教育機関であるCambridge Assessment International Educationが監修した国際的な教育プログラムです。

小学校から高校までをカバーする体系的な学習プログラムで、現在では世界160カ国以上の学校で採用されています。

このカリキュラムでは、基礎的な学力を育てる初等教育(Cambridge Primary)から始まり、中等教育の前半(Cambridge Lower Secondary)、そして国際的に広く認知されているIGCSE(14〜16歳)、さらに大学進学準備課程にあたるAS & A Level(16〜19歳)まで、段階的に構成されています。

いずれの段階においても、単なる知識の暗記ではなく、論理的思考力や問題解決能力、そして自ら学ぶ姿勢が重視されています。

また、各科目の評価は国際基準に基づいて統一されており、世界中の受験者が同じ内容の試験を受けることで、公平で信頼性の高い学力評価が行われます。

特にAS & A Levelの成績は、イギリス、オーストラリア、カナダなどの大学で広く入学基準として認められており、アメリカの大学でも評価対象とされています。

日本国内でも近年、インターナショナルスクールや一部の私立校で導入が進んでおり、帰国子女や将来の海外進学を視野に入れる家庭にとって、注目される教育カリキュラムの一つとなっています。

インターナショナルスクールの学費はいくらかかるの?

インターナショナルスクール(小学校)の費用は、場所や教育内容、設備などによって大きく異なります。

ここでは、日本国内の一般的な例をもとに、おおよその費用をご紹介します。

インターナショナルスクール(小学校)の費用
入学金 200,000〜500,000円
授業料(年間) 1,500,000〜3,000,000円
施設利用料 100,000〜500,000円
給食・通学バス等 100,000〜300,000円
制服・教材費等 50,000〜200,000円
合計 200万〜450万円

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インターナショナルスクールの学費は一律ではなく、学校の規模やカリキュラムによって差がありますが、授業だけでも年間150万〜300万円程度かかります。

その他の諸費用も含めると、年間で500万円ほどかかる場合もあります。

インターナショナルスクール(小学校)からの中学受験は現実的か?

日本のインターナショナルスクールから中学受験をする場合、その学校が「一条校(学校教育法第1条に基づく学校)」かどうかが大きなポイントとなります。

以下に、インターナショナルスクール出身者の中学受験に関する情報を整理しました。

一条校のインターナショナルスクール出身の場合

一条校として認可されたインターナショナルスクールを卒業している場合、日本の小学校卒業資格を有しているため、通常の中学受験が可能です。

これらの学校は、文部科学省の認可を受けており、義務教育課程を修了したとみなされます。

一条校でないインターナショナルスクール出身の場合

一方、多くのインターナショナルスクールは「各種学校」や無認可校に分類されており、これらの学校を卒業しても日本の小学校卒業資格を取得できない場合があります。

そのため、従来は中学受験に挑戦することが難しい状況でした。

しかし、最近では一部の私立中学校が、一条校ではないインターナショナルスクール出身者にも受験資格を認める動きが出てきています。

例えば、東京都の男子御三家である開成中学校と武蔵中学校やがインターナショナルスクール出身者にも門戸を広げています。

これらの中学校は、「一条校に該当しないインターナショナルスクール出身者であっても、一般入試に合格すれば入学資格を与える」という方針を打ち出しています。

また、在籍していたインターナショナルスクールから成績証明書や在籍証明書を取得し、受験校に提出することで、受験資格が認められる場合もあります。

ただし、受験資格の有無や必要書類は学校ごとに異なるため、志望校の募集要項を確認し、必要に応じて直接問い合わせる必要があります。

インターナショナルスクール(小学校)選びで重視すべき3つのポイント

ここからは、インターナショナルスクールを選ぶ際に重視すべきポイントをご紹介します。

通学の利便性

小学生が毎日遠方まで通学するのは、保護者にとってはやはり心配なものです。

そのため、自宅から無理なく通える距離にあること、もしくはスクールバスの運行があるかどうかを確認することが大切です。

また、将来的に中学・高校と附属校への進学する場合は、それらのキャンパスの所在地や通学手段も合わせてチェックしておくと安心です。

海外で学んできた教育内容や指導スタイルを日本でも続けられるか

海外で学んでいた教育内容を日本でも続けられるかどうかも、学校選びの重要なポイントです。

例えば、国際バカロレア(IB)や各国の教育課程(アメリカ式、イギリス式など)に慣れていた場合、同じような教育を受けられる学校を選ぶことで、子どもの負担を減らし、学習のペースを保ちやすくなります。

国際的な評価団体から認定を受けているかどうか

日本の学校教育法第1条に基づく「一条校」として認定されていないインターナショナルスクールでも、国際的な評価団体(例:WASC、CIS、ACSI、NEASC)から認定を受けている場合、大学進学時の資格取得に有利となることがあります。

特に高校までインターナショナルスクールに通うことを計画している場合は、これらの認定の有無を確認しましょう。

最適な教育環境の選び方

インターナショナルスクールを選ぶ際には、単に学校のカリキュラムや施設だけでなく、立地や教育方針、将来的な進学の可能性についても慎重に検討することが大切です。

子どもが通いやすい場所にあるか、また、これまで受けていた教育を日本で続けられるかどうかは、学びの質や適応に大きな影響を与えます。

将来の進学やキャリアを見据えて、最適な教育環境を選ぶことが、成功のための決定的なポイントとなります。