帰国子女の中には、英語力を維持するためにインターナショナルスクールへの進学を選ぶご家庭も少なくありません。
一方で、学費の高さがネックとなり、通学をためらうケースもあります。
インターナショナルスクールにはさまざまな利点がある一方で、注意すべき点も存在します。
通わせるかどうかを判断するには、両面をしっかり把握することが大切です。
「子どもに通わせたい気持ちはあるけれど、費用面が心配で決断できない」という方のために、学費の支援として利用できる就学支援金制度や奨学金制度についても詳しくご紹介します。
ぜひ、本記事を今後の教育方針の参考にしていただければ幸いです。
目次
インターナショナルスクールとは?
インターナショナルスクールには、法的に明確な定義は存在しませんが、一般的には外国籍の児童・生徒を主な対象とし、英語を中心とした言語で授業を行う教育機関として認識されています。
文部科学省の見解によれば、インターナショナルスクールの多くは、学校教育法第134条に基づく「各種学校」として認可されており、一部には、同法第1条に該当する「一条校」として運営されている学校もあります。
一方で、法的な認可を受けていない無認可校も一定数存在します。
日本国籍の子どもを「一条校」ではないインターナショナルスクールに通わせた場合、義務教育の就学義務を果たしたとは見なされない可能性があります。
インターナショナルスクールの多くは、独自の教育方針のもと、柔軟なカリキュラムが組まれており、学校ごとに多様な教育が行われています。
また、国際バカロレア(IB)や国際学校評議会(CIS)といった国際的な認証機関から認定を受けている学校もあります。
インターナショナルスクールの学費はいくらかかるの?
インターナショナルスクールの学費(授業料)は一律ではなく、学校の規模やカリキュラムによって差がありますが、年間150万〜300万円程度を想定しておくと良いでしょう。
学費以外の費用にかかる負担
インターナショナルスクールに通うための費用は、学費(授業料)だけでなく、その他にも様々な費用がかかります。
以下の項目についても、予算に入れておくことが重要です。
- 受験料:3万〜5万円(1回のみ)
- 入学金:20万〜50万円(1回のみ)
- 施設利用料:20万〜50万円(年間)
- 教科書代や実習費:30万〜50万円(年間)
- スクールバス代:10万〜30万円(年間)
※上記の金額は各学校によって異なります。
上記の費用に加えて、サマースクールの費用や寄付金など、学校独自の費用がかかる場合もあります。
これらの費用の内容や金額は学校ごとに異なるため、入学案内をしっかり確認しておくことをおすすめします。
インターナショナルスクールと日本の学校の学費の違い
小学校から高校までインターナショナルスクールに通った場合、年間の学費を200万円と仮定すると、総額で約2400万円かかる計算になります。
一方、文部科学省の試算によれば、小学校から高校まで私立の学校に通う場合の学費はおよそ1800万円、公立学校の場合は約500万円とされています。
日本の学校は国からの助成を受けられるため、インターナショナルスクールと比べて、学費負担は大きく抑えられています。
インターナショナルスクールの学費が高い理由
以下では、インターナショナルスクールの学費が高くなる主な理由について解説します。
少人数制による教育体制
インターナショナルスクールでは、日本の学校と比べて1クラスあたりの生徒数が少なく、きめ細やかなサポートを受けることができます。
しかし、少人数制を維持するためには、相応の教員数が必要となり、人件費が増加します。
このため、学費が高くなる傾向があります 。
公的支援の対象外
多くのインターナショナルスクールは、学校教育法第1条に定められた「一条校」ではないため、国や自治体からの補助金や助成金の対象外となっています。
その結果、運営費用の全てを保護者が負担する必要があり、学費の上昇につながる大きな理由の一つとなっています。
高度な教育プログラムと施設
国際バカロレア(IB)やケンブリッジ国際教育など、国際的に認知されたカリキュラムを採用している学校では、専門的な教材や評価システムの導入が求められます。
また、最新の教育施設や設備の整備・維持にもコストがかかり、これらが学費に反映されています。
優秀な教員の確保と維持
インターナショナルスクールでは、質の高い教育を実現するために、ネイティブスピーカーや国際的な資格を有する教員を採用している学校も少なくありません。
こうした教員には、高い給与や福利厚生のほか、ビザ取得や渡航費用などの追加コストが発生し、結果として学費の上昇につながっています 。
インターナショナルスクールの学費を抑えるためには?
インターナショナルスクールの学費を抑えるためには、いくつかのポイントがあります。
これらを活用することで、学費の負担を少しでも減らすことができます。
インターナショナルスクールの無償化制度について
2019年10月にスタートした「幼児教育・保育の無償化」により、一部のインターナショナルスクールも、認可外保育施設として対象となっています。
ただし、保育料の全額が無償になるわけではなく、3歳から5歳の子どもに対して、月額3万7000円までが補助される制度です。
この制度を利用するためには、お住まいの自治体から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。
この認定を受けるには、保護者の就労状況など、認可保育所の利用と同様の要件を満たす必要があります。
詳細は各自治体にお問い合わせください。
就学支援金制度と奨学金制度について
2020年に始まった「私立高校授業料の実質無償化」政策により、文部科学省の認定を受けたインターナショナルスクールも、返済不要の授業料支援を受けることができます。
ただし、この支援制度には、対象となるご家庭の年収に上限があります。
例えば、両親と高校生または中学生を含む4人家族で両親の一方が働いている場合、年収590万円未満で支援額の上限が適用され、年収910万円未満だと一部が補助されます。
さらに、インターナショナルプリスクールには年収制限がなく、「幼保無償化」の対象となる可能性が高いです。
帰国後の進路としてのインターナショナルスクール
海外で得た英語力や国際感覚をさらに深めるため、インターナショナルスクールは帰国子女にとって良い選択肢の一つです。
しかし、学費の高さが理由で進学を迷われるご家庭も多いかと思います。
本記事では、学費の支援策として、国や自治体が提供する制度についてご紹介しました。
これらを活用することで、学費を少しでも抑えることができるので、ぜひ参考にしてください。
本記事が、帰国後の進路選択に役立つ一助となれば幸いです。