近年注目を集めている大学附属校について、そのメリットやデメリット、進学校との違いをわかりやすく解説します。
中学受験や高校受験を控えたご家庭に役立つ内容を、わかりやすくお伝えします。
目次
大学附属校とは?
大学附属校とは、大学と同じ法人によって運営されている小・中学校・高校のことを言います。
成績などに一定の基準が設けられているものの、附属高校の生徒はその大学へ内部進学することができます。
附属校と一括りに言われていますが、ほぼ全員が附属大学へ内部進学する学校もあれば、そのほとんどが内部進学せず、実質的には進学校となる学校もあります。
半数は内部進学、半数は外部受験となる学校もあります。
ここでは私立大学の大学附属校についてご説明していきます。
例えば、慶應義塾高等学校(神奈川県)や、早稲田大学高等学院(東京都)などが代表的な大学附属校です。
大学附属校のメリットとは?
大学附属校は、学業面だけでなく、個々の関心や良好な人間関係を築くことにも重きを置いた教育環境として注目されています。
ここでは、そんな附属校に通うことで得られる代表的なメリットをご紹介します。
大学進学のストレスが少ない
附属校の最大の利点は、内部進学制度により、大学受験のプレッシャーから解放される点です。
例えば、慶應義塾大学の附属校である慶應義塾高校や慶應義塾女子高校(東京都)では、ほとんどの生徒が推薦により慶應義塾大学へ進学しています。
このような制度により、高校在学中から大学進学への安心感を得ることができます。
興味・関心のある分野を深く追究できる
受験勉強に追われることが少ないため、生徒は自分の興味や関心に基づいた学びに集中できます。
部活動、ボランティア活動、研究プロジェクトなど、多様な経験を積むことで、自己理解を深め、将来の進路選択にも役立てることが可能です。
例えば、立教新座高等学校(埼玉県)では、立教大学の教授による特別講義や学部説明会が実施され、生徒が早期から専門的な学問に触れることができます。
深い人間関係を築くことができる
中学から大学まで一貫して同じ環境で学ぶことで、深い人間関係を築くことができます。
これにより、同級生や先輩・後輩との強固な人間関係が築かれ、卒業後も続く貴重なネットワークとなります。
コストパフォーマンスが高い
附属校の学費は一般的な私立校と同程度ですが、大学受験のための塾や模擬試験などの費用や受験料が不要となるため、トータルでの教育費用を抑えることが可能です。
また、内部進学制度により、進学先が確保されている安心感も得られます。
属校には多くのメリットがありますが、学校ごとに内部進学の条件や進学実績が異なるため、各校の特徴をよく理解した上で進学先を選ぶことが重要です。
大学附属校のデメリットとは?
以下に、大学附属校の注意点をご紹介します。
勉強へのモチベーションが維持しにくいことも
附属校の多くでは、内部進学に一定の基準(定期試験の成績や生活態度など)が設けられているものの、「基本的には進学できる」という安心感がかえって気の緩みに繋がる場合があります。
特に、早慶などの人気大学の附属校では、学業成績の下位層に対して留年措置が取られることもあり、「内部進学できるはず」という油断が致命的な結果につながることもあります。
進学校に比べて、学習のモチベーションを自力で維持しなければならないという意味で、自己管理能力が求められます。
希望する学部・学科が選べない可能性がある
附属校の内部進学では、成績順で学部・学科が割り振られます。
したがって、志望する分野があっても、成績次第では希望通りにならないことがあります。
例えば、文系学部中心の大学附属校に通いながら後から理系を志望するようになった場合、進路変更が難しくなるケースも考えられます。
また、大学によってはそもそも選べる学部が限定的であることもあります。
例えば、学習院大学や成城大学は学部数が限られているため、進学後に学びたい分野が見つかっても、それに対応する学部がないことがあります。
そのため、将来の進路がまだはっきりしていない段階で附属校を選ぶ場合は、進学先となる大学の学部や学問領域を事前によく確認しておくことが大切です。
外部受験に対するサポート体制が乏しい場合がある
附属校の教育は、基本的に内部進学を前提としてカリキュラムが設計されています。
そのため、他大学を目指して外部受験を考える場合には、学校側からの大学受験に関する情報や指導が十分に受けられない可能性があります。
例えば、大学受験向けの講座がなかったり、個別にサポートしてもらえる機会や模試の実施が少なかったりすることもあります。
また、外部受験を希望する場合、内部進学の権利が失われる場合があります。
早稲田実業学校(東京都)では、外部受験を選んだ場合に内部推薦の資格を放棄しなければならないとされていますが、一方で成蹊高等学校(東京都)などでは、所定の手続きを踏めば内部推薦資格を保持したまま併願受験が可能な場合もあります。
大学附属校と進学校の違いとは?
附属校と進学校には、目的や進路指導の方針に明確な違いがあります。
附属校は、その名の通り特定の私立大学と連携しており、一定の成績基準を満たせば、その大学へ内部進学できるのが大きな特徴です。
多くの場合、一貫教育を前提としており、早い段階から大学での学びに触れる機会がある点も特長です。
一方、進学校は大学受験に特化したカリキュラムを採用しており、特に中高一貫校では6年間を通じて難関大学合格を目指した体系的な学習が行われます。
独自教材や演習、大学受験対策講座が充実しています。
高校受験を経て進学校に入った場合でも、3年間で受験対策に集中できる体制が整っています。
なお、東京大学や京都大学などの国立大学には、私立大学のような附属校制度がないため、これらの大学を志望する場合は、基本的に進学校を選ぶことになります。
納得のいく進路選びのためにできること
本記事では、大学附属校について、そのメリットやデメリット、進学校との違いをわかりやすく解説しました。
どちらが優れているというよりも、子どもの個性や将来の方向性に合った進路選びが大切です。
進学のプレッシャーにとらわれず、自分のペースで学びを深めたいのか。
あるいは、幅広い選択肢の中でより高い目標に挑戦したいのか。
ご家庭でじっくり話し合いながら進路を考えていくことが、納得のいく学校選びにつながります。