ボーディングスクールとは?全寮制教育の特徴とメリットを解説

「日本の学校で本当に大丈夫?」そんな悩みを抱えるご家庭も多いのではないでしょうか。

特に、英語力や国際的な教育環境を求めるご家庭にとって、ボーディングスクール(全寮制学校)は帰国子女にとって大きな成長のチャンスとなります。

規律ある環境の中で自立心や国際感覚を養えるだけでなく、大学進学実績にも定評があります。

この記事では、ボーディングスクールの基本情報や選び方、学費などについて、わかりやすく解説します。

ボーディングスクールとは?

ボーディングスクール(Boarding School)とは、学生が学校の敷地内で生活しながら学ぶ全寮制の学校のことです。

生徒は学校内の寮で生活し、授業や課外活動に参加します。

多くの場合、家庭から離れて学校に通うため、独立心や自立心を養うことができます。

また、国際的な環境で学べるため、特に帰国子女の帰国後の進学先として注目されています。

ボーディングスクールのカリキュラムについて

一般的に、ボーディングスクールのカリキュラムは大きく分けて2種類あります。

一つは「国際バカロレア(IB)」「国際学校協議会(CIS)」「米国西部学校大学協会(WASC)」などの国際的な教育課程、もう一つは、都道府県の認可を受けた日本の高等学校教育課程です。

日本の高等学校教育課程を採用していない学校の場合、卒業しても日本の高校卒業資格が得られない可能性があります。

将来の進路に大きく影響を与えることもあるため、カリキュラムの内容や取得できる資格は、進学前に必ず確認しておくことが大切です。

ボーディングスクールの通うメリットとは?

ボーディングスクールは、学力だけでなく自立心や国際感覚も育める教育環境として注目を集めています。

ここでは、そんなボーディングスクールに通うことで得られる代表的なメリットをご紹介します。

英語力の飛躍的な向上

ボーディングスクールでは、日常生活の大半が英語によって行われるため、自然と英語力が鍛えられます。

授業はもちろん、寮での生活や友人との会話も英語が基本となるため、実践的な英語スキルが身につき、将来海外の大学でも通用するレベルまで高めることが可能です。

グローバルな教養と価値観を身につける

世界中から集まる生徒とともに生活を送ることで、多様な価値観や文化に触れることができます。

他国の習慣や考え方に触れながら、自国の文化を相対的に理解する力が育ち、国際社会で必要とされるグローバルな視点が身につきます。

寮生活による自立心の育成

ボーディングスクールでは、家族のサポートから離れて生活するため、日常的な自己管理や時間の使い方が求められます。

食事、洗濯、勉強計画などを自分でこなす経験は、責任感や自立心の形成に大きく貢献します。

探究心と課題解決力の育成

国際バカロレア(IB)などの先進的なカリキュラムを導入している学校も多く、生徒自身が問いを立てて学ぶ「探究型学習」が中心です。

ディスカッションやプレゼンテーション、フィールドワークなどを通じて、主体的に学ぶ姿勢や問題解決能力が養われます。

少人数制による手厚い学習支援

多くのボーディングスクールでは、1クラスあたりの人数が少なく設定されており、教員が生徒一人ひとりの進捗や理解度に応じてきめ細やかな指導を行なっています。

また、学業や生活面をサポートするアドバイザーが配置されている学校もあり、安心して学校生活を送ることができます。

ボーディングスクールのデメリットとは?

以下に、ボーディングスクールの注意点をご紹介します。

学費の負担が大きい

ボーディングスクールに通う上で、大きなハードルとなるのが、学費の高さです。

年間の学費は平均しておよそ350万〜600万円とされ、一般的な私立の学校と比べても非常に高額であることがわかります。

学校によっては、寮費などを含めると、年間で1000万円を超えるケースもあります。

高い学力と英語力が求められる

授業は基本的にすべて英語で行われ、海外からの優秀な学生と一緒に学ぶため、相応の学力と語学力が求められます。

入学時点で一定の英語力が必要なほか、卒業まで高い学習意欲を維持することも不可欠です。

特に、海外大学への進学を目指す場合は、さらに高い学力と語学力が必要になります。

ボーディングスクールに通うための学費はいくら?

ボーディングスクールは、基本的に全寮制を採用しており、授業料と寮費を含めた年間費用は、一般的に約300万円から1000万円程度とされています。

この他にも、生活にかかる家賃、食費、水道光熱費などの費用が発生するケースもあります。

一方で、こうした環境だからこそ、学習面だけでなく、協調性や自立心といったスキルも養われます。

ボーディングスクールでの生活は、教室の外でも多くの学びを得られる貴重な経験となるでしょう。

ボーディングスクール選びで重視すべき5つのポイント

ここからは、ボーディングスクールを選ぶ際に重視すべきポイントをご紹介します。

奨学金制度の有無

ボーディングスクールでは、学費が高額であるため、経済的な支援が必要となる場合があります。

多くの学校では、成績優秀者や経済的に困難な家庭向けに奨学金制度を設けています。

奨学金の有無や内容を確認することは、進学を検討する際に重要なポイントです。

帰国子女・留学生の割合

日本国内のボーディングスクールは、主に2種類に分類されます。

一つは、日本の学習指導要領に沿ったカリキュラムを提供する「一条校」で、ここでは日本人の生徒が多く在籍しています。

もう一つは、外国のカリキュラムを採用した「インターナショナルスクール」で、帰国子女や日本在住の外国籍の生徒が多く通っています。

どちらの学校も指導言語は基本的に英語で実施されていますが、学習内容やサポート体制が異なるため、進学先を選ぶ際には、自分のニーズに合った学校を選ぶことが重要です。

ESL(英語教育)プログラムの有無

英語力に自信がない、またはさらに高めたいという場合は、ESL(English as a Second Language)プログラムが充実したボーディングスクールを選びましょう。

このプログラムでは、英語が母国語でない生徒を対象に、集中的に英語を学び、語学力を向上させることができます。

海外大学進学を目指す場合、このようなプログラムを受けることで、英語力を高める大きな助けになります。

進学実績

ボーディングスクールを選ぶ際は、その学校の進学実績もチェックすることが大切です。

特に新しい学校では、卒業生の進学先がわかりにくいため、事前に学校の進学状況や進路指導を確認しておくと安心です。

オープンキャンパスや説明会に参加し、具体的な進学実績を確認することをおすすめします。

寮生活のサポート体制

ボーディングスクールでは、親元を離れて寮生活を送ることになります。

寮の環境や生活サポートが整っているかどうかは、学校選びにおいて重要なポイントです。

食事や医療サポート、メンタルケアなど、生活面でのサポートが充実しているかを確認し、安心して生活できる環境が整っているかどうかをチェックしましょう。

おすすめのボーディングスクール3選

ボーディングスクールへの進学を考えている方に向けて、帰国子女に合った学校に精通した編集部が、独自の視点でおすすめのボーディングスクールをご紹介します。

海陽中等教育学校

​海陽中等教育学校(以下、海陽学園)は、イギリスの名門パブリックスクール「イートン校」をモデルに設立された、全寮制の中高一貫男子校です。

​教育の場であると同時に、家庭や遊び場としての役割も果たす「ハウス」と呼ばれる寮での生活を通じて、生徒たちは多様な価値観に触れ、教養を身につけ、社会性を磨いていきます。

ハウスでは、同級生や他学年との交流が自然に行われ、価値観の異なる仲間と深い関係を築いていきます。

​このような共同生活を通じて、生徒たちは自立心や協調性を養い、リーダーシップを育んでいきます。

また、海陽学園では、学業だけでなく、芸術やスポーツなどの活動にも力を入れており、豊かな教養とノブリス・オブリージュの精神を育成することを目指しています。

​2025年には、東京大学に7名の合格者を輩出するなど、大学進学実績にも定評があります。

このように、海陽中等教育学校は、全人教育を実践し、将来の日本を牽引するリーダーを育成することを目的とした、魅力的な学校の一つです。

海陽中等教育学校の基本情報

以下に、海陽学園の基本情報をご紹介します。

海陽中等教育学校の基本情報
所在地 〒443-8588
愛知県蒲郡市海陽町3-12-1
>>Googleマップ
募集人数 若干名
受験資格 公式HPをご確認ください
受験料 35,000円

←スマホは横にスクロール→

Rugby School Japan

Rugby School Japan(以下、RSJ)は、英国の名門パブリックスクール「Rugby School」の日本校として、2023年9月に千葉県柏市の柏の葉スマートシティに開校した共学のインターナショナル・ボーディングスクールです。

「The Whole Person, The Whole Point(全人教育)」を理念に掲げ、学業だけでなく、スポーツ、芸術、リーダーシップ、社会性など多方面にわたる人間形成を重視しています。

イギリスの本校と同様に、ハウス制度を導入し、生徒は所属するハウスを通じて、協調性やリーダーシップを育みます。

Rugby School Japanの基本情報

以下に、RSJの基本情報をご紹介します。

Rugby School Japanの基本情報
所在地 〒277-0882
千葉県柏市柏の葉6-2-5
>>Googleマップ
受験資格 公式HPをご確認ください
学費 450万〜800万円程度

←スマホは横にスクロール→

Harrow International School Appi Japan

Harrow International School Appi Japan(ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン)は、英国の名門パブリックスクール「ハロウスクール」の日本初の系列校として、2022年8月に岩手県八幡平市の安比高原に開校しました。

ハロウスクールは1572年に創立され、英国首相を務めたウィンストン・チャーチルやインド初代首相ジャワハルラール・ネルーなど、多くの世界的リーダーを輩出してきた伝統校です。

ハロウ安比校は、英国式の全寮制インターナショナルスクールで、日本の小学6年生から高校3年生に相当するYear7〜13の生徒を対象としています。授業はすべて英語で行われ、英国の教育システム「Aレベル試験」のカリキュラムに沿って、高校卒業および大学入学の国際資格を取得することが可能です。

キャンパスは東京ドーム約2個分の広さを持ち、校舎や天然芝のグラウンド、36ホールのゴルフ場などが整備されています。

男子は「マサムネ(伊達政宗)」「チャーチル」、女子は「オガタ(緒方貞子)」「ライオン(創設者)」のハウスに所属し、音楽会やスポーツ大会などのイベントを通じて交流を深めます。

ハロウ安比校は、自然豊かな環境で英国式の教育を受けられることから、国内外の保護者や生徒から注目を集めています。

Harrow International School Appi Japanの基本情報

以下に、ハロウ安比校の基本情報をご紹介します。

Harrow International School Appi Japanの基本情報
所在地 〒028-7306
岩手県八幡平市安比高原180-8
>>Googleマップ
受験資格 公式HPをご確認ください
学費 850万〜1000万円程度

←スマホは横にスクロール→

帰国後の進路にボーディングスクールを考える

海外で身につけた英語力や国際的な感覚をさらに伸ばす場として、ボーディングスクールは帰国子女にとって有力な選択肢の一つです。

ボーディングスクールでは、家族と離れての寮生活を通じて、学業はもちろん、日々の生活や課外活動を通じて、規律や礼儀、自立心、コミュニケーション能力など、社会性の基盤となる力を養うことができます。

近年では、英国の名門校であるRugby SchoolやHarrow Schoolが日本に分校を開設するなど、ボーディングスクールへの注目は一層高まっています。

実際に、帰国子女の進学先として選ばれるケースも増えてきました。

本記事が、帰国後の進路を考えるうえで少しでも参考になれば幸いです。